2004年に発表された乾くるみの小説「イニシエーション・ラブ」が、10年後の2014年、テレビ番組等での紹介によって一躍注目され、1ヶ月で21万部増刷された(2015年4月現在累計150万部突破)。それを機に映画化のオファーが出版社に殺到。乾のアイデアを盛り込んでフレキシブルに対応した日本テレビが映画化権を獲得した。小説の「叙述トリック」を、映像表現を駆使して映画ならではの「映像的トリック」に作り上げるため、堤幸彦監督の起用が決定。しかも、堤は作品の舞台となる80年代のカルチャーにも造詣が深く、撮るべくして撮ることになったといえるだろう。原作は「映画化不可能」と言われる小説ならではのトリックを使った作品ではあったが、乾が提案した映画用の叙述トリックによって、映像化の突破口が開かれ、そのアイデアを元に、主に舞台で活躍していた新鋭の井上テテが脚本を書き上げた。キャストには、鈴木に松田翔太、マユに前田敦子、美弥子に木村文乃というこれ以上ない魅力的な俳優が集結した。